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計算機の計算能力の向上が科学技術の進歩に直接的に寄与し得ることが明確になって,計算機の性能の一層の向上が望まれている. 近年,高速計算のプラットフォームは専用並列計算機の他,高速ネットワークで結合されたワークステーション群,インターネットに接続された計算機群など多様化しており,このような環境での分散・並列処理のソフトウェアの開発は必ずしも容易ではない. 我々は,計算科学・技術の研究者が,計算機の多様性をあまり意識せず,本来の分野の研究に専念できるような問題解決環境,コンパイラ,実行時環境,スケジューラなどのシステムサポートの実現を目指し,そのための先端的な要素技術の研究とプロトタイプの開発を行った.
タスク並列問題に必須となるスケジューリングの理論的解析を行った. コンパイラ中でこの問題を解くアルゴリズムPDF/IHS(世界最良)を開発し,加えて客観的評価のためのベンチマークを提案した.
逐次プログラムを並列タスクに分解する自動並列化コンパイラを開発した. 同時に新提案のcc-COMA型実行環境を用意し,コンパイルから実行までの完全セットが稼働している. さらに,並列処理の様子を可視化するツールも作成した.
分散共有メモリの性能向上のためのソフトウェア制御キャッシュを開発した. また,並列実行中のプログラムを別のコンピュータに移動させることをも可能とした.
並列論理型言語Orgelを新たに提案/開発し,これを用いることにより非数値計算における並列分散処理の有用性を追求し,高い性能を得た.
以上を総合して並列分散問題解決環境を構築した. 具体的にWWWベース並列電磁界解析が可能になっている.
スケジューリングアルゴリズムの評価用として公開している標準タスクグラフ,また動的スケジューラやPDF/IHSなど提案アルゴリズムとその結果,さらに,上記説明中,プロジェクト内で作成された自動並列化FortranコンパイラMIRAIと視覚化ツールNaraView,Orgelコンパイラ,PCクラスタ向け実行環境Fagus,ソフトウェア制御キャッシュ,タスク移送システムMOBA,WWWベース並列電磁界解析環境のデモを行う.