以降の議論をできるだけ具体的にするために, この節では 我々に ABCL/f オブジェクトモデルを設計させるに至った 二つの例を示す. おのおのの例は, アルゴリズムを自然に記述するために, 特定の型の保証並列性が望ましいことを示唆している.
最初の例はオブジェクト上での保証されたリーダライタ間の並列性の重要性 を示す. より具体的に言えば, オブジェクトは, 他のスレッドが自分の上ですでに動作していても, (少なくとも)読みだしオンリーなメソッドを受け入れるべきである. 二つめの例はメソッドの最後の更新が終わったらすぐに そのオブジェクトへのひき続くメソッドが現在のメソッドと 並列にスケジュールされるように オブジェクトはアンロックされるべきであることを示す.
各例について, まず問題の記述, 望ましい並列性, そしてどのようにこれが望ましい並列性を保証しない言語に おいて働くのかを与える.