各プロセッサは, 局所ごみ集め器が遠隔プロセッサから潜在的に参照されてい るオブジェクトを回収するのを防ぐためのテーブル(エントリテーブル)を保持す る. オブジェクトは, その参照が初めて遠隔プロセッサに送られたときにエン トリテーブルに登録され, 全体ごみ集めが, そのオブジェクトに対する参照がな いと判断するまでテーブルに保持される. 局所ごみ集めはエントリテーブルか ら参照されているオブジェクトは決して回収しない.
図3.10: 遠隔参照を管理するためのデータ構造. プロセッサ P 上の オブジェクト A はプロセッサ Q 上のオブジェクト B を 参照している. 実際には A は B の局所スタブ(B')を参照する. その後 B' はプロセッサ番号 Q と局所アドレス B の ビット反転を持つことによって B を配置する. エグジットテーブルは すべての局所スタブに対するポインタを含んでいるハッシュ表である. エントリテーブルは局所ごみ集め器が遠隔から参照されている オブジェクトを回収するのを防ぐために存在する.
局所参照は直接のポインタで表現されている. 一方, 遠隔参照は特別なオブジェ クト型である「スタブ」(もしくはプロキシ)への局所参照によって表現され ている. スタブはそのオブジェクトを所有しているプロセッサ番号と遠隔オブ ジェクトの局所アドレスをビット反転したものを含んでいる. そのアドレスが 現在のアドレス空間で有効であるという間違った認識を局所ごみ集め器 にさせないために, 遠隔プロセッサの局所アドレスのビットを反転させている . プロセッサが遠隔オブジェクトの参照を受けとる(輸入する)とき, そのオブジェ クトのためのスタブがまだ確保されていない場合に限り, プロセッサはそのオ ブジェクトのためのスタブを確保する. 輸入操作においてすでに確保されたス タブを探すために, 各プロセッサはそのプロセッサ内のすべてのスタブを参照 するハッシュ表(エグジットテーブル)を保持する. 図3.10に 遠隔参照を管理するためのデータ構造を示す.