図5.3: セルの構造ここで未知数は および 内部エネルギではなくエンタルピをhとし, これらのメッシュ点における値を決める. 密度, 圧力, エンタルピをセルの中心で定義し, と書き, 運動量はエッヂで定義して と表す. 時刻は, とし, n, n+1 の添字で表す. 連続の式, 運動量の保存式, エネルギの保存式に差分法を用いると次式を得る.
さらに 熱的状態方程式として次式が得られる.
次にこれらの式をコンピュータでどのように計算し, 解を求めているかを述べる.
まず, 式(5.6)において, 時刻 (n+1) の圧力勾配項を時刻 (n) の勾配項で置き換え, 陽的に を求める. この値 は, 求めるべき真の値 の予測値となる.
この値を用いて, エネルギ保存式(5.7)の左辺を計算することを考える. 式(5.7)には, 変数 の時刻 (n+1) における値が含まれている. そこで, 各変数の添字 (n+1) を (n+1,k)と置き換え, としてみる.
ここで, 式(5.10)において, を 求めるべき時刻 n+1 の真値に達する計算過程における 第 k 回目の反復であることを示し, を 第 k 回目の反復計算値から求められる エネルギ保存式の誤差を示しているとみることができる. また, は, の関数と考えることができる.
圧力 p の値を調整することによって 誤差 を小さくすることを考える. 誤差 の 圧力 p による全微分は次式で表される.
この を零にするための圧力 p の変化分 を考え, Newton-Raphsonの解法により次式が導かれる.
このようにして得られた を用いて, 式(5.6),(5.5),(5.8)より順次 が計算される.
次に 式(5.10),(5.12),(5.13)より 第 (k+1) 回目の が得られる. この計算を繰り返し, の値が十分小さくなったところで 収束したものとみなす. その時の値を時刻 (n+1) における値とし, 時刻 (n+2) における計算をはじめる. この全体の流れを 図5.4に示しておく.
図5.4: 計算の流れ