多様性を維持することによって過剰収束問題を回避し, また並列計算機上での計算効率 を向上させるために, いくつかのモデルが提案され, 数値計算により実証されてきた. これらの並列GAモデルは次の二つのアプローチに大別される.
これら二つのモデルは, それぞれ MIMD と SIMD という異なる並列アーキテクチャに適 しているは自ずから明らかである. CM-5 や nCUBE 等の MIMD マシンのそれぞれのプロ セッサは island GA のサブ集団に対応する. 一方, CM-2 やアレイプロセッサ等の SIMD マシンはプロセッサの配列がセルの配列に対応する.
並列計算機上での実装面からみると, 単純GAの選択や交配等の全体制御を一つの中央プ ロセッサで実行し, 最も計算時間のかかる適応度計算や(コーディング方法によるが)交 配を複数のプロセッサに振り分ける master-slave GA(micro-grained GA とも呼ぶ) も一種の並列GAと考えることができる(図5.1).
図5.1 適応度計算を並列化した master-slave GA