最後に, 現在数多くのタイプが市販されている MIMD アーキテクチャにおける効率的な Cellular GA の実装例について述べる. Mühlenbein [26] は ASPARAGOS と呼ばれる Cellular GA システムを図5.5の梯子型結合 した64個の Transputer からなる並列計算機上に実装した. 二次割り当て問題をはじめ として数種類の問題で計算効率を評価した.
Schleuter [24] も同じ計算機上で Cellular GA を最大532都市の巡回 セールスマン問題に適用した. この研究の目的は交配や突然変異などのパラメータに対 するロバスト性の検証である. この結果, 局所的な交配/選択が, 適応選択やエリート 戦略よりも優れていることを数値実験で実証した.
さらに, プロセッサの接続形態をより密結合であるトーラス状のものと比較し, 高い結 合性が過剰収束問題を引き起こすことを示した. また, 単純GAとの比較でほぼ線形の高 速化が得られることも数値実験により示した. このことから Island GA よりも通信負 荷の高い Cellular GA であっても, ほとんど効率を落すことなく十分に MIMD アーキ テクチャに実装可能であることが証明された.