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導入

多くの高性能並列プログラミング言語とその実装技術が研究されてきているが, 大規模並列計算機におけるごみ集めの性能についてはまだよく理解されていな い. 特に, 分散メモリ並列計算機におけるごみ集めの性能に関する研究は少な いが, これはおそらく実装の困難さによるものと思われる.

本研究では, 大規模分散メモリ並列計算機上の単純なごみ集めの設計と実装に ついて述べ, その性能を測定する. 特に, 局所ごみ集めと全体ごみ集め の様々なスケジューリング戦略が性能に与える影響を調べ, 様々なアプリケー ションの挙動に対してよい性能を与える効率的でadaptiveなスケジュー リング戦略を提案する. 我々のごみ集め器は, ごみ集めは非同期局 所(独立)か, 同期局所か, 全体である. 非同期局所ごみ集めは 各プロセッサが他のプロセッサとまったく協調することなしに局所的なごみを回収 する. 同期局所ごみ集めはすべてのプロセッサが同時に局所ごみ集めを行なう. 最後に, 全体ごみ集めは, すべてのプロセッサが協調して全体のオブジェクト が形づくるグラフを探索し, 遠隔ポインタをたどるためにマークメッセージを 交換する分散マーキングごみ集めである. 二つの局所ごみ集めはそれらがどう スケジュールされるかという点のみが異なる. 非同期ごみ集めは他のプロセッ サに全く知らせを送らずに起動される. 一方, 同期ごみ集めはすべてのプロセッ サに知らされ, すべてのプロセッサはごみ集めに集中する.

我々は様々な領域確保と通信の動作を行なう三つのアプリケーションを用 い, 様々なタイプのごみ集めの性能の特徴を調査した. 実験から導かれる結論 は次のことを含んでいる.