4.5.3節で述べたように, gdb とマルチスレッドライブラリの整合をコマンドラインレベルでは, 完全に整合する事はできない. 一部ランタイム上に置いて デバッグシステム側が gdb に対する step 実行を要請 する場面が存在する.この場合の コマンドライン から用いた場合と, Emacs を通して使った場合のそれぞれの対応を述べる.
まず,コマンドライン 上で gdb を使っている場合であるが, この場合, ユーザに対してstep実行を要請する事になる. 現在の実装では, step 実行が必要な部分に対して, 図4.8に載せた例のように, step 実行を要請するようなソースファイル上の行を設定, 行番号を対応させている. reply や 他ノードからの実行要請の場合も同じである. 一方,Emacsを通してgdbを用いているユーザに対しては, 自動的にEmacsがメッセージの無表示,step命令の発行をおこなう. これは, gdb がstep, next実行などで停止した場所が ランタイムに相当し,なおかつ,step 実行が要請されている場所である場合, Emacs lisp プログラム 側でそれと判断し, 自動的に step 実行を発行するものである. これにより,ユーザはランタイムの存在に惑わされる事なく, 4.2.2節で説明した通りの挙動を 見る事が出来る.