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問題
本研究の目的としては, 自らメッセージを発信できる, 能動的で, 自律的な
エージェント間の協調, 競合または組織化だと考えられる. そして,
本研究の目的は, ある文法を持ったエージェント群の中に, 異なった文法を持つ
エージェ
ント群が加わったときに, 多数のメッセージ交換を通じて, 試行錯誤
しながら, 各エージェントが群の中での共通な文法を獲得していく過程を実
現することである.
具体的には, 世界中に存在する ピジン, クレオール といった混合言語が発生する
過程を, シミュレーションモデルとして実現することである.
図5.1: 本研究モデルのイメージ
本モデルは, 以下のエージェントから構成される.
- 日本人エージェント群: 日本語の文法を既に獲得している.
- 外国人エージェント群: 英文法を獲得している.
これらの構成要素が相互作用することにより, 各エージェントが共通の文法を
獲得する過程をシミュレートする
(図5.1参照).
そのプロセスを以下に示す.
- エージェントが発話したいという欲求から, 概念が発生し, その概念を
もとに, 自分の持つ文法を用いて文を生成する.
- エージェントが誰かに対して発話をおこなう.
- 文を受け取ったエージェントは自分の持つ文法を用いてパースし, そこ
から得られた概念を返答する.
- 最初に発話したエージェントは概念を受け取ると, 最初の概念と, 受け
取った概念をもとに学習をし, 自分の文法を変えていく.
- 共通の文法を獲得する.
本モデルで共通文法を獲得したエージェントは, bilingualではない.
つまり, スイッチを切替えたように, 突然以前に獲得していた日本語または英語
を発話できるわけではない.
また, 学習によって得られた文法は, 英語でも日本語でもない. 双方が入り混じっ
た混合言語である.
エージェント間での文のやりとりは以下のようになる.
- あるエージェントが以下の操作にしたがって,
他のエージェントに向かって自然言語文を送信する.
- エージェントがランダムに概念を発生させる.
具体的には「私はあなたに花をあげる」という概念は,
となる.
- 概念と, 自分の文法を基に文を生成する.
- ランダムに選んだエージェントに対し, 生成した文を発話する.
- 文を受け取ったエージェントは以下の操作にしたがって, 文を理解する.
- エージェントが文を受け取る.
- 文を自分の文法にしたがってパースする.
- パースした結果から, 概念を得る.
- 発話したエージェントへ概念を返す.
Mitsubishi Research Institute,Inc.
Mon Feb 24 19:32:21 JST 1997