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問題

本研究の目的としては, 自らメッセージを発信できる, 能動的で, 自律的な エージェント間の協調, 競合または組織化だと考えられる. そして, 本研究の目的は, ある文法を持ったエージェント群の中に, 異なった文法を持つ エージェ ント群が加わったときに, 多数のメッセージ交換を通じて, 試行錯誤 しながら, 各エージェントが群の中での共通な文法を獲得していく過程を実 現することである. 具体的には, 世界中に存在する ピジン, クレオール といった混合言語が発生する 過程を, シミュレーションモデルとして実現することである.

figure72

図5.1: 本研究モデルのイメージ

本モデルは, 以下のエージェントから構成される.

これらの構成要素が相互作用することにより, 各エージェントが共通の文法を 獲得する過程をシミュレートする (図5.1参照). そのプロセスを以下に示す.
  1. エージェントが発話したいという欲求から, 概念が発生し, その概念を もとに, 自分の持つ文法を用いて文を生成する.
  2. エージェントが誰かに対して発話をおこなう.
  3. 文を受け取ったエージェントは自分の持つ文法を用いてパースし, そこ から得られた概念を返答する.
  4. 最初に発話したエージェントは概念を受け取ると, 最初の概念と, 受け 取った概念をもとに学習をし, 自分の文法を変えていく.
  5. 共通の文法を獲得する.

本モデルで共通文法を獲得したエージェントは, bilingualではない. つまり, スイッチを切替えたように, 突然以前に獲得していた日本語または英語 を発話できるわけではない. また, 学習によって得られた文法は, 英語でも日本語でもない. 双方が入り混じっ た混合言語である. エージェント間での文のやりとりは以下のようになる.



Mitsubishi Research Institute,Inc.
Mon Feb 24 19:32:21 JST 1997