これまで報告されている実験結果 [4]では, 32プロセッサを用いて 1プロセッサの2〜3倍程度であり, しかもこれは同じパーザを1プロセッサで実 行した時の結果であり, 純粋な逐次処理専用に書き直したパーザではない. 同 論文などに書かれている記述だけからはその原因を知ることは困難であり,ま た, 文法に関しても異なるものを用いているため,我々のパーザとの公平な比 較を行なうことも難しいが, この節では, PAXの処理方式を紹介し, そこから 演繹できる範囲で我々のパーザとPAXとの定性的な比較を試みる.
PAXはチョムスキー標準形でない文法も扱うことができる. しかしチョムスキー 標準形でない文法は形式的にに標準形に変形することができるため, CKYアル ゴリズムと, 一般性という点においては差がない. したがって以下では, チョ ムスキー標準形文法をPAXを用いて処理した場合の考察を行なう.