本節では, 並列オブジェクト指向言語 ABCL/fを用いて 科学技術計算分野の主要な題材である流体力学の解析計算を行なった. ここに述べる計算は, 1次元の圧縮性流れ 「衝撃波管の流れの解析」[1] である. 衝撃波管をセル分割し差分法により計算を行なっている. 分割されたセルを複数個まとめて1つの並列オブジェクトとし, 必要に応じて並列オブジェクト間のデータ通信を行ないながら計算を進めていく. 1つの並列オブジェクトに多くのセルを割り当てることで, 1つの並列オブジェクトの通信量を増やさずに計算量のみを増やすことができる. 例えば, 1000個のセルを1つの並列オブジェクトとして 63台のPEで実行したところ, 1台のPEで最も高速に計算した場合に比べて 約50倍の高速化が実現された. また, 通常 FORTRAN を用いて記述されるこのような計算を, ABCL/f で記述した場合の 並列化や記述性 についても述べる.