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パレート最適解の評価

各ケースの最終世代におけるパレート最適個体数, 絶対精度, 多様性, 被覆率を 前節により計算した結果を例題ごとに図5.18に示す.

パレート最適個体数
はCase1,2の単純GAでルーレット選択が全体の中で多 い. 並列GAでは移住あり/なしそれぞれでルーレット選択(Case4,7), ルーレット選択+ シェアリング(Case5,8), パレート最適個体保存選択(Case6,9)の順に相対的に多いが, 例題4だけは全く逆の傾向が見られる. 移住あり(Case7〜9)は, 移住なし(Case4〜6)に 比べて若干多くなる程度である. しかし, Case3 以外ては, いずれも100個以上のパレー ト最適個体が得られており, 個数的には十分である.

絶対精度
は単純GA(Case1〜3)が並列GAより1桁近く良い. 並列GAでは個体 数と同様に, Case4,5,6とCase7,8,9の順で絶対精度が良い. ただし, 例題4は逆の傾向 を示している.

多様性
はいずれも高い値を示しているが, ルーレット選択(Case1,4,7), ルーレット選択+シェアリング(Case2,5,8), パレート最 適個体保存選択(Case3,6,9)の順に相対的に高くなる. 単純GA, 並列GA, 並列GA+移住の 間の差異はあまりない.

被覆率
も多様性と同様いずれも高い価を示しているが, Case3の単純GAの パレート最適個体保存選択だけは, 非常に悪い. これは得られた個体数が少ないためで ある. 手法間に共通する傾向は見当たらない.

例題による違い
は, 例題4で絶対精度と多様性が逆の傾向を示す点を除け ば傾向や値はほぼ共通しているので, 例題1,2,4はいずれも同程度の難易度の問題であ ると考えられる. 一方, 例題3は個体数, 多様性, 被覆率が他より全体的に低く, その 意味で若干難しい問題である. これはおそらくパレート最適解の区間と可能解領域全体 の相対的な比率が例題3では小さいことに起因している.


図5.18 評価結果(個体数, 絶対精度, 多様性, 被覆率)



Mitsubishi Research Institute,Inc.
Mon Feb 24 19:32:36 JST 1997